兄夫婦から
LINE が来た。
1枚の写真と
「うちいろいろあるんだけど・・・・」
それを見て
私はすぐに思った。
ああー
犬だ。
夏に2人で遊びに来た

今年の夏ー
兄夫婦が
二人で遊びに来た。
義姉は
今年の2月に病気が見つかった。
「お医者さんから
あることを言われていた」
残された時間について。
ーーー
半年が過ぎていた。
どんな顔をして
迎えたらいいのかー
少し考えていた。
やってきた義姉は
どう見ても
元気そうだった
豚丼をペロリと平らげた

お腹すいたので
どこかで食べようという話になった。
入ったお店でー
義姉が頼んだのは
豚肉がたっぷり乗った
豚丼だった。
私はラーメン。
ーーー
食べ始めて
しばらくして
兄の器が空っぽになった
それを見た私は
「食べるの早いねー」と
義姉に同意を求めるように
彼女の顔を見上げるとー
義姉の方も
「私も食べちゃった」
器も空になっていた。
私のラーメンは
まだ3分の1ほど
残っている。
ーーー
「えぇ~~~!!
早いね」
驚いた。
▶ドクダミの根を掘ってみたら土の中がラーメンだったはこちらー

3人で比べたら私たちの方が先に・・・
久しぶりに会えば
話すことはいくらでもある。
義姉のお母さんの愚痴を
ひとしきり聞いた。
それから
うちの夫の話にもなった。
「この実家で過ごせてよかったね」
「ギリギリまで家にいられて良かったね」
そう言ってもらえた。
ーーー
義姉は
自分のこれからの話もした。
犬のことが落ち着いたら
兄と旅行をしたい。
長生きするつもりでいる。
「あと20年は大丈夫だよ」
私はそう言った。
兄と私はー
20年経てば
兄は 88歳
私も義姉も
80を超える
うちの父は74歳
母は79歳で亡くなっている
「それ考えたら義姉さんより
どう見ても私たちの方が先だよ」
ーーー
兄が言った。
「本当だよ!」
そしてー
「俺、ご飯作れないからね」
ーーー
3人で笑った。
誰も
しんみりしなかった。
「うちいろいろあるんだけど」
その後ー
義姉のお腹の調子を
少し心配していた。
でも
何の連絡もない。
順調に過ごしてるのだろう。
そう思っていた
2ヶ月近く経った
ある日。
義姉から
LINE が来た。
「うちいろいろあるんだけど」
写真が
1枚ついていた。
私は犬だと思った

兄が目を腫らして
どこかに電話をかけている
写真だった
それを見た瞬間ー
ああ、犬だ。
そう思った。
ーーー
夏に来た時
聞いていた。
17年飼っている犬が
余命ひと月だと。
ーーー
だからー
「いろいろあるんだけど」
この言葉と写真を見て
虹を渡ったのだと
勝手にに解釈した。
手を合わせて
お祈りをした。
そして LINE を返した。
ーーー
送られてきた写真はー
兄が救急車で運ばれる
直前のものだった。
体に合わないものを
知らずに口にしたらしい。
ーーー
私のLINE を読んで
義姉と兄は大笑いしたという
わざわざ電話が
かかってきた。
「犬は元気だ」と
それから1週間後、また連絡が来た

それから1週間ほど経って
また義姉から
連絡が来た。
ーーー
義姉は元気。
犬も元気。
ーーー
兄が
手術をすることになった。
入院が決まったという。
ーーー
夏に会った時ー
一番心配されていたのは
義姉だった。
あれからー
救急車に乗ったのは兄。
手術をするのも兄。
義姉は
元気に過ごしている。
ーーー
「ご飯作れないからね」
あの時そう言っていた兄が
今度は看病される側になった。
・咄咄怪事(とつとつかいじ)。
あれよあれよと
不思議なことが起きる。
そういうもんだ
