十字花刺し。
一番作りたかった柄だ。
でもー
糸をたくさん使うし
細かい。
ずっと
手を出せずにいた。
それを今
縫っている。
十字花刺しという柄

十字花刺し。
じゅうじはなざし、と読む。
十字のステッチを
交差させていくとー
小さな花が
一面に咲いたように見える。
人気の柄だ。
ーーー
ずっと
やってみたかった。
でもー
糸をたくさん使う。
模様が細かい。
そのたびに
別の柄を選んでいた。
ーーー
それを今
縫っている。
暮らしの手帳で見つけた

花布きんを知ったのは
10年以上前。
暮らしの手帳に
載っていた。
白いさらし木綿に
色のついた糸で
模様を縫い込んでいく。
幾何学模様や
昔からある図案。
日本の刺繍だ。
ーーー
一刺し一刺し
模様が出来上がっていく。
それに惹かれた。
すぐに
刺し子の本を買った。
そこから
縫い始めた。
もったいなくて使えなかった

縫い上がると
もったいなくなる。
布きんなのに。
拭くための
ものなのに。
ーーー
結局ー
数枚飾って
あとは
しまっておくだけになった。
観賞用の布きん。
それでは
何のために
縫っているのか
わからない。
ーーー
そのうち
縫わなくなった。
「あっこれ!私好きなの!」

義理の妹が
家に来た時のこと。
飾ってあった布きんを
見つけた。
「あっこれ!
私好きなの!」
そう言って
握りしめていた。
ーーー
嬉しくなって
もう1枚出してきた。
「これ、私が作ったの」
そう伝えると
決して上手ではない縫い目の
花布きんに
感動してくれた。
ーーー
刺し子の本も
見せてみた。
本に載っている図案と。
同じものを見つけて
喜んでくれた。
ーーー
好きな人が
いるんだ。
それならー
何枚作っても
喜んでもらえる。
そう思った。
▶4日間のにぎわいが終わってー
「お酒飲みすぎたよね」夫の話をした夜はこちらー

10枚あげて、ウチには1枚もない

それまでにも
人にあげていた。
全部で
10枚ほど作っただろうか。
手元に残っていたのは
2枚だけ。
ーーー
その2枚を
義理の妹が持って帰った。
ーーー
気がつくとー
うちには
1枚もなくなっていた。
ーーー
渡す時は
いつもこう伝えている。
「どんどん使ってね」
高価なものではなく
私の余暇で作ったものだから
ヨレヨレになるまで
遠慮なく使って
最終的に処分してほしい。
お気に入りを
惜しみなく使えるのは
いいことだと思う。
なくなったら
また縫えばいい。
ーーー
もったいなくて
飾っていた頃の自分に
教えてやりたい。
今度は
自分の分も縫って
どんどん使おうと思っている。
無心になれる時間

縫っている間は
無心になる。
楽しい。
早く仕上げたくて
根を詰めすぎてしまう。
気がつくと
何時間も経っている。
ーーー
人にあげるものだから
丁寧にしたい。
そう思って
縫うのだけれどー
糸を無駄なく使おうとすると
縫い目が雑に見えてしまう。
「じゃあ
これは自分用にしよう」
ーーー
十字花刺しは
細かい。
糸もたくさん使う。
それでも
俄然やる気が出てるせいか
最後までできる。
ーーー
綺麗にできるといいな
そんなことを考えながら
今日も針を持つ
